障害者自立支援法までの変遷(障害者自立支援法の基礎知識)

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障害者自立支援法までの変遷

「障害者自立支援法」が施行され早や半年たちました。利用者の中でも、また、事業者の立場においても様々な問題点が出てきています。

本来なら「自立」を支援するためにできた法律であるのに、どうしてこんなに多くの問題点が指摘されているのでしょうか。

これまでにあった制度も含めて考えてみたいと思います。

支援費制度

 「障害者自立支援法」(2006.4~)の制定を語る前に、「支援費制度」(2003.4~2006.3)についてふれておきます。

 「支援費制度」は、身体障害者福祉法・知的障害者福祉法・児童福祉法にのっとり、在宅(ホームヘルプサービス・デイサービス等)・施設(通所施設・入所施設)サービスを利用できる制度でした。

障害者・高齢者制度の一本化(障害者制度の介護保険統合)の発端となりうる」という障害者側からの異論はありましたが、措置制度から契約制度への移行、応能負担(利用者の収入に応じた負担額の設定をする負担金の決め方。介護保険はサービスを受けた金額の1割を負担する応益負担が採られています)など、利用者にとって多くのメリットが見いだされ、国の予想以上に制度利用が格段に進みました。(特に親と同居している知的障害者の移動介護利用が全国的に増え、ヘルパーさんが足りない状況が続いていました。)

 これだけ利用者が増えたのは、今までの障害者制度があまりにも使いにくい制度だったことが要因でしょう。

「支援費制度」施行前の障害者制度(特に在宅系)は、ほとんどが地方自治体の外郭団体(社会福祉協議会や福祉公社等)への委託で運用されておりまして、派遣時間が限られているなど(平日の9時から17時までの派遣、など)、特に重度障害者(24時間介護が必要な障害者)には大変使いづらい制度でありました。

 それが、「支援費制度」が始まると、利用者が事業者を選択できるようになり、契約によりどの時間帯にでも派遣してもらえるようになりました。

まさに画期的な制度であったわけです。

 しかしながら利用者が増えると、国の予算を圧迫します。

しかもこの制度は国家予算の中の裁量的経費(国が必ずしも保証しなくても良い予算のこと。特に、居宅生活支援費等の裁量的経費は、法律に規定されているものといないものがあり、居宅生活支援費は「費用の2分の1以内を補助することができる。」と規定されており、予算が不足しても追加交付することができない経費となっていました。)に組み込まれたため、初年度より補正予算を組む異常事態となりました。

また、厚生労働省が居宅介護時間の上限を公言したため、障害当事者が厚生労働省前で座り込みデモをするなど、先行き不安な様相を見せました。

 翌年より、支援費制度の存続に関する議論がすでに出てくることとなります。

支援費(事業所に入る報酬)が若干の激変緩和措置はあったものの当初より大幅に減額され、採算がとれなくなってしまった事業所の撤退も相次ぐこととなりました。

対して利用者は増える一方で、事業所不足の声も多く聞こえてきたわけです。

 「支援費制度」は初年度より破綻し、3年で終わってしまうということになってしまったのです。

簡単ですが、「支援費制度」の内容及び問題点について述べてきました。

このあと、大きな制度改革が待ち受けており、「障害者自立支援法」の施行により、障害者の生活も大きく変わることとなるのです。

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